加齢黄斑変性の症状と原因、治療方法 | 加齢による目の病気
近年、高齢化に伴い急速に増加している目の病気に「加齢黄斑変性」があります。網膜の中心にある「黄斑部」に異常が生じる病気で、著しい視力低下や、悪化すると失明の危険性もある怖い症状です。
今回は、加齢黄斑変性の症状と原因、治療方法についてご紹介します。
加齢黄斑変性の症状
目の網膜の中心にある「黄斑部」には多くの視細胞が集中し、私たちがものを見る際の要となっています。この黄斑部が加齢等の原因によって変化し、様々な視覚障害を引き起こすのが加齢黄斑変性と呼ばれる病気です。
加齢黄斑変性の主な症状には、下記のようなものがあります。
- 視野の中心部がぼやける
- ものが歪んで見える
- 急激な視力低下
- 失明
加齢黄斑変性はアメリカでは中途失明原因の1位を占め、日本でも緑内障や糖尿病網膜症等に次ぐ4番目となっています。
加齢黄斑変性の原因
加齢黄斑変性は「目の生活習慣病」ともいわれ、加齢のほか、日々の生活習慣の乱れも発症の原因となります。かつては日本では珍しい病気でしたが、近年では高齢化やライフスタイルの欧米化により、急速に増えてきています。
加齢黄斑変性には、下記の2つのタイプがあります。
萎縮型
加齢等の原因により、視細胞に栄養を送る網膜色素上皮が徐々に萎縮し、網膜の働きが低下していく症状です。
滲出型
網膜の後ろにできた異常な新生血管が黄斑部に入り込むことが原因で、視覚障害を起こす症状です。
多くの場合、こうした症状は両目が同時に起こるわけではありません。そのため、片方の目が視力の低下を補うことで初めのうちは症状を見逃してしまいがちです。40代半ば頃からは、目に異常がない場合であっても、定期的に検査を受けるようにした方が良いでしょう。
加齢黄斑変性の治療方法
「萎縮型」の加齢黄斑変性の場合、基本的に有効な治療方法はなく、経過観察になります。
一方、「滲出型」の場合には、薬物療法、光線力学療法、レーザー治療等の方法があります。
薬物療法
抗VEGF薬を目の中に注入し、異常な新生血管の成長を抑える治療法です。
光線力学療法
光感受性のある物質を静脈に注入した後、弱い出力のレーザーを照射することで、新生血管を詰まらせる治療法です。
レーザー治療
新生血管の位置が黄斑の中心から離れた位置にある場合には、強い出力レーザーを照射して破壊する方法がとられることがあります。
加齢黄斑変性の予防法
上述したように、加齢黄斑変性は「目の生活習慣病」ともいわれる病気です。日々の生活習慣を見直し、目の老化を抑制することが病気の予防に役立ちます。
紫外線を避ける
紫外線は加齢黄斑変性の発症リスクを高めます。日差しの強い日はつばのある帽子をかぶったり、UVカットのサングラスやメガネを使用して、紫外線から目を保護するようにしましょう。
禁煙
様々な研究によって、タバコが加齢黄斑変性のリスクを高めることが明らかになっています。喫煙の習慣がある人は、禁煙が病気の予防につながります。
予防効果のある栄養素の摂取
牡蛎や豚レバー等に多く含まれる亜鉛や、緑黄色野菜に豊富な抗酸化ビタミン類、ルチン等の栄養素の摂取も予防に効果があるとされています。普段の食事での摂取が第一ですが、不足しがちな場合にはサプリメント等で補うのもよいでしょう。
まとめ
今回は、加齢黄斑変性の症状と原因、治療方法についてご紹介しました。
加齢による目の病気には、加齢黄斑変性以外にも、老眼や白内障等さまざまなものがあります。
これらの病気は、ゆっくりと病気が進行することで、症状を自覚できないケースも多いものです。深刻な目の病気を見逃さないよう、40代頃からは特段目に異常がない場合であっても、定期的に眼科での検査を受けるよう心がけましょう。